散骨をめぐる法律

日本国内では、海上や陸上での散骨を具体的に規定した法律は存在しません。しかし、2020年に厚生労働省が発表した「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」は、散骨に関するある程度の枠組みを示しています。

このガイドラインでは、散骨の定義や、墓埋法、刑法、廃棄物処理法など、散骨に関連する法律を列挙しています。また、散骨事業者が取るべき方策や、散骨にまつわる様々な課題にも言及しています。

法律上の問題点として、「遺骨の散骨が遺骨遺棄罪に当たらないか」「遺骨を粉骨する行為が遺骨損壊罪にあたらないか」といった論点が過去に指摘されてきました。1948年に制定された墓埋法の時代には想定されていなかった葬送方法であるため、法律が現状に追いついていないのが実情です。

漁場やビーチ、自然公園などを有する地域では、無配慮な散骨を防ぐため独自の条例を設けて、陸上・海上の散骨を制限している市町村もあります。

散骨は、お墓と同様に、適切なコンプライアンスを守る事業者と相談の上で行う必要があります。

(株式会社366 代表取締役 伊藤照男)