寄稿 「海洋散骨にまつわる心配ごと」株式会社366 伊藤照男社長より

「わたしが死んだら海に散骨してほしい」と考える人は年々増加しています。2015年の海洋散骨協会の調査によると、そのように思う人は全体の約1割にのぼるそうです。

本人がそう望んでいても、残された家族は海洋散骨に関する様々な心配を抱えています。海洋散骨協会の調査によれば、主な懸念事項は①供養の方法、②法律・コンプライアンスの問題、③費用と手続きの手間です。

中でも特に多い不安は、「散骨した後に故人が成仏できるのか」「家族の絆や慰霊の気持ちが薄れてしまわないか」「散骨した後、家族がお参りに来てくれるだろうか」「お参りすべき対象は何か」「遺族との縁が切れるような気がする」など、お墓参りの対象が失われることに関するものです。

日本には、地方によって「両墓制」(りょうぼせい)と呼ばれる文化が存在します。これは、遺骨や遺体を埋葬する墓(埋め墓)と、お参りをするための墓(詣り墓)を別々に設ける習慣です。現代では火葬が一般的になったことで、この文化はほとんどの地域で消失しています。

この文化を踏まえると、遺体や遺骨の最終的な行き先と、遺族がお参りする場所は必ずしも同じでなくても良いと、古来から考えられてきたことが確認できます。

teraumiは、遺骨の一部を海に、もう一部をお寺に納める方法です。これは、両墓制の現代的な形とも言えるでしょう。

(株式会社366 代表取締役 伊藤照男)